松下医院よりご挨拶院長よりひとこと

新型コロナウイルス感染症(1)

更新日:2020/02/26

  連日テレビ、新聞等で新型コロナウイルス感染症(いわゆる武漢肺炎)のニュースが流れて不安になっている方も多いと思います。「今日は北海道で何人感染者を確認、和歌山で何人確認」と報道していますが、そんなことをいくら報道しても何の意味もありません。感染が確認された人の行動を追跡調査しても、風評被害を増やすだけで何の対策にもなっていません。

 武漢で変わった肺炎患者が出ているとネット上に最初に出たのは昨年末の事です(残念なことにこの医師はお亡くなりになりました)。この時点で既に武漢では静かにこのウイルスが拡がっていたと思われます。

 武漢では毎年、春節前に住民多数が集まる大宴会が行われるようです。今年も1月19日に4万世帯が集まって開かれたそうです。これが今回の惨事を招いた元凶です。中国共産党はこの時点で新型コロナウイルス感染症を認識していたのですから、武漢市がこの宴会を中止にしていれば世界中にこのウイルスが一気に拡がることはなかったに違いありません。また、武漢の人がこんなに沢山亡くなられることもなかったでしょう。ほぼ同時期に感染し、ほぼ同時期に発症した人々が多数病院に押し寄せたことが悲劇の始まりでした。

 我々は1年に何回か風邪をひきますが、その15~20%はコロナウイルス感染症です。これまで人間界に存在するコロナウイルスは6種類で、SARS、MERS以外の4種類は弱毒性で、いわゆる風邪ウイルスです。今回の新型コロナウイルスも弱毒性と考えられています。ただ全人類でこのウイルスに免疫を持っている人はいません。免疫システムが働いて抗体が出来るまでに10日ほどかかってしまうので、「今度の風邪は熱が高くて、筋肉痛もあって辛かったなぁ」と言いながら治って行きます。

 しかし、今までに何度となく罹患し、予防注射もあり治療薬もあるインフルエンザでさえ毎年日本で1万人の方が亡くなられます。およそ1000人に1人です。

 今回の新型コロナウイルスでは、日本でも1000人に1~2人の方は重症化して亡くなられると思います。中国、特に武漢の死亡率は2%(100人に2人)と報告されています。これは高すぎます。これには何らかの理由があると思われます。

 一つはあまりに沢山の人が病院に殺到して、閉鎖空間のウイルス密度が異常に高くなり、大量のウイルスに曝露された可能性。二つ目は院内の患者同士でうつし合いをすることによって突然変異が起きて毒性の強いウイルスに変化した可能性。三つ目は患者が多すぎて本来するべき処置が出来ていない可能性。武漢以外での感染者からはそんな高率に死者は出ていませんので、ウイルスそのもの以外に理由を求めるべきでしょう。

 では現時点での日本、関西の状況はどうでしょうか?

 大阪はまだ一人しか出てないから大丈夫なんてことはありません。和歌山であれだけの感染者が出ているのに、その何十倍、何百倍の訪日中国人がやって来る大阪に感染者が一人なんてありえません。黒門市場、心斎橋のUNIQLO、マツモトキヨシ、免税品店の店員さんなどなど多くの人が感染したと考えるのが妥当でしょう。彼らは若くて元気なので「今年はきつい風邪にかかったわ」、「インフルエンザの検査して陰性やったけど、あれ絶対インフルエンザやったわ」と完治してしまっています。でも若くて元気なので行動範囲も広いです。今や関西のいたる所に感染者がいると考えて行動しなければなりません。

 今我々が出来る最善の行動は、各人が手洗いと咳エチケットを敢行して出来るだけ感染しない、感染させないようにすることです。それでもいつかは感染します。風邪なんですから。ゆっくりと少人数ずつ感染すれば、幸い日本の医療資源は充実しているので十分に対応出来ます。絶対に避けなければいけない事は一度に沢山の人が感染する事です。一時期に沢山の感染者が病院に押し寄せたら、武漢の病院のようにキャパシティを超えて悲惨な結果になってしまいます。そのために今大勢の人が集まる集会は避けるべきと考えられます。

 免疫力を高める為に十分な睡眠をとり、適度な運動をして、感染するのを出来るだけ先送りしましょう。4~5年すればこのコロナウイルスも5番目の風邪ウイルスになりますから、むやみに恐れる事なくしっかりと予防して行きましょう。気温が上がり、湿度が上がる梅雨頃には一旦落ち着くでしょうが、油断してはいけません。今年の冬にも再び流行ってくるでしょう。決して侮らず、予防を継続することです。

 

                                           松下 正幸

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