松下医院よりご挨拶院長よりひとこと

新型コロナウイルス感染症(6)-コロナとの遭遇-

更新日:2020/06/10

 政府は5月25日、5都道県で継続していた緊急事態宣言を解除し、これで全都道府県の緊急事態宣言が解除されました。やっと通常の生活が戻ってくるかと思っていましたが、今のところ関西は大丈夫のようですが、北九州、東京は再び感染者数が増加し、東京は「東京アラート」が出されました。

先日「阪急西宮ガーデンズ」でどれほどの人がマスクを付けているか観察しましたが、20人に1人付けていない人がいるかなという程度でした。装着率95%、日本人は凄いです。

 患者さんの中にはまだ「お買い物に出かけるのが怖い」と言われるお年寄りがおられます。マスゴミの煽り報道に侵されています。「8割おじさん」の西浦教授を従え、小池知事が「お買い物は3日に1回にしましょう」と何の根拠もないことを言ったので、国民は「スーパーでも感染するんだ」と思ってしまいました。日本人は、店内ではほぼマスクを付けています。と言うことはカートや陳列商品に飛沫が飛び散る可能性は非常に低くなります。そもそも貴方がお買い物に行くスーパーの店内にコロナに感染した人は何人いるのでしょうか?

 台湾からの報告によると、コロナ感染者は発病前4日間と発病後5日間は他人に感染させる可能性があるようですが、6日目以降は感染させていませんでした。またドイツの報告では発病後7日目以降に患者から採取されたコロナウイルスには感染力はありませんでした。すなわち発病後7日を過ぎると他人には感染させないということです。日本ではいまだに14日間の隔離を言われています。そこで本稿では日本式に14日間は感染させる可能性があるとして話を進めます。

 14日間感染させる可能性があるので、5月25日から6月7日までの14日間に発病した新規感染者は6月8日に我々に感染させる可能性があります。大阪府内ではこの14日間に3人の新規感染者がありました。しかしこの3人はコロナに感染していることが分かったので、病院、ホテル、自宅で待機の措置が取られ、我々に遭遇することはありません。しかし、3人の感染者の陰に、全く症状が無いか非常に軽症で本人も自覚していない人はどれぐらいいるのでしょうか?それに関して正確なデータはありませんので、「8割おじさん」西浦教授が言っている実行再生産数を利用しましょう。彼は専門家委員会でこれを2.5として計算しています。この2.5という数字は、ヨーロッパで感染拡大が急速に起きていた時期のドイツでの実行再生産数だそうです。1人の感染者が平均2.5人に感染させるということです。3人の患者は一人で2.5人に感染させるので7.5人の隠れコロナ患者がいることになります。大阪府民は750万人ですので、今日われわれにコロナを感染させる可能性のある人は府内に100万人に一人いるということです。満員の甲子園球場20杯に一人です。この人たちはお昼間大阪市内に仕事に来ているかもしれません。令和2年5月1日の大阪市の推計人口は2,750,868人です。外出しないであろう5歳以下と90歳以上の人を除くとおよそ260万人となります。260万÷7.5=346,666で、昼間は大阪市内に34万7千人に一人いるかもしれない計算です。あなたは一日に何人の人と行きかうでしょうか?福島区民は7万7千人です。福島、此花、西淀川、西区の人口を合計すると34万人ほどですから、この4区内に一人いるかいないかです。なかなか遭遇しそうにありませんよね。すれ違っただけでは感染しません。濃厚接触の定義は「およそ1m以内で必要な感染予防策無しで患者と15分以上接触のあった者」となっています。今日一日で、あなたは何人の人と1m以内に接近し15分間以上会話を交わしましたか?挨拶や会釈はしても5分以上会話をした人はほとんどいないのではないでしょうか。そもそもあなたは見知らぬ人と15分以上お話をしますか?ありえないでしょ。

 梅田にお買い物に行こうと阪神電車に乗っても、デパートやスーパーマーケットに入っても、あなたがコロナ感染者に遭遇することはほぼないし、ましてやその人があなたの半径1m以内で15分以上留まってお話をすることは皆無です。日本で習慣化したマスクの着用と頻回の手洗いをしている限り、日常生活で新型コロナウイルスに罹ることは0パーセントです。どんどん街に出て経済活動を再開しましょう。ZERO(ゼロ)パーセントではありませんが、零(レイ)パーセントです。

 「ゼロ」と「レイ」は若干違います。ZEROは英語、零は漢語で、ZEROは「全くない」という意味、零は「全くない」もしくは「ほんの少し」という意味です。天気予報でお天気お姉さんは「大阪の明日の降水確率は零パーセントです」と必ず言っているはずです。

 5月7日時点での大阪の隠れコロナ患者は805人、260万÷805≒3、230で、市民3、230人に一人は感染させる可能性のある人でした。これぐらいの数字になると、対面で15分以上会話するかは別にして、イオンやライフにお買い物に行くとひょっとしたら遭遇していたかもしれません。

 感染確率がほぼ零パーセントの今、マスクを付けて屋外を歩いている人は、晴天の真夏日に雨合羽を着て長靴を履き、水中眼鏡をかけてこうもり傘をさしている変な人とコロナウイルスの目には映っているのかもしれません。降水確率50%の予報なら折り畳み傘を持って外出し、降水確率80%なら長傘を持って出かける。これぐらいの臨機応変さがこれからコロナと長く付き合っていく上で必要だと思います。いつも雨合羽にこうもり傘では長続きしないでしょう。特に屋外ではマスクは外してください。先日マスクを付けて一日中屋外で作業されていた方が、頭痛と倦怠感で来院されましたが、熱中症でした。相手先に気を使ってマスクを付けて作業をしていたようです。これからの季節コロナよりも熱中症が心配になります。

 行き過ぎた「コロナ自粛警察」にこそ政府、自治体が自粛を要請していただきたいものです。そのためには政府、自治体、教育委員会等の公的機関が感染確率を考慮して、臨機応変に感染対策を変化させてほしいと思います。そうすれば一般企業、商店もそれに習うことが出来ます。一人でも感染者が出ると批判されるからと行政が責任回避ばかりしていると、「コロナ自粛警察」がはびこり、我々は一年中雨合羽に長靴、こうもり傘で生活しなければなりません。ここは首長に責任を取る覚悟を決めていただきたいと思います。自治体の首長、企業の社長は責任を取るために存在しているのですから。

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