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小児のワクチン接種を考える
更新日:2022/03/09
-今慌てて接種する必要があるの?-
令和4年3月4日 松下 正幸
政府は3月から小児(5歳から11歳)への新型コロナウイルスワクチン接種を開始すると発表しています。東京の足立区ではすでに2月28日に接種が開始され、その映像が放送されていました。お子さんやお孫さんにワクチン接種を進めるのかどうか、しっかり考えて頂く材料として本稿を書きました。
まず今回小児に接種されるファイザー製ワクチンについて理解しておいてください。ワクチンには大きく分けて2種類あります。生ワクチン(麻疹、風疹、水痘等)と不活化ワクチン(インフルエンザ、日本脳炎等)です。生ワクチンは、ウイルスを細胞内で何代も継代培養して弱毒化してはいますが、感染能力のあるウイルスを直接体内に入れるもので、弱いですが実際に感染が成立します。そのため通常1回の接種で訓練免疫、自然免疫、獲得免疫(細胞性免疫、液性免疫)すべての免疫反応が獲得できる最強のワクチンです。
不活化ワクチンは、ウイルスの抗原となるタンパク成分だけを精製して体内に入れるもので、実際にウイルスに感染することはありません。したがって免疫を獲得しにくく通常2~3回接種します。ウイルスが細胞内に入って感染が成立したわけではないので、投与された抗原タンパクに対する液性免疫(抗体)だけが獲得できます。この方法(インフルエンザワクチン等)は何十年にわたる経験と実績があり、ほぼ安全性が確立されています。しかし、この方法には大きな欠点があります。時間と場所とお金が掛かるのです。ワクチンは健常人に接種するので、安全性が治療薬以上に求められます。したがってワクチンの開発には通常5~10年の年月が必要です。今回のようなパンデミック時にはスピーディーに大量に全世界に供給出来ないのです。そこで考え出された方法がmRNAワクチンです。今までの不活化ワクチンは免疫反応を引き起こすタンパク(抗原)を体外で精製し体内に入れていましたが、今回のmRNAワクチンは新型コロナウイルスのトゲトゲ部分(スパイク蛋白)を作るためのmRNAと言う設計図(遺伝子)を組み換え遺伝子技術で作成し、それを直接筋肉細胞に注入して細胞内で細胞の器官を使って作らせます。体外でスパイク蛋白(抗原)を作成し、それを精製して接種するのではなく、我々の筋肉細胞を培養器にしてしまうわけです。筋肉細胞内で作られたスパイク蛋白(抗原)は細胞が崩壊することによって細胞外に放出され、それに対して免疫が惹起され抗体が産生されます。筋肉崩壊と局所での免疫反応が筋肉痛の原因と考えられます。このようなメカニズムのワクチンは今回初めて実用化されました。
mRNAが核内のDNAに組み込まれて将来ガンの原因になるのではないかと心配される方もいますが、理論的にはそんなことはないと思われます。しかし、このワクチンは接種が始まってから1年ほどなので、5年後、10年後の安全性を保障できるものではありません。そのことは小児のワクチン接種にあたって十分留意しておく必要があります。10年先が無いかもしれない高齢者に接種するのではないのです。
mRNAワクチンの事をご理解いただいた上で、このワクチンの有害事象を厚生労働省のホームページに公開されているデータから見ていくことにしましょう。新型コロナワクチン接種後の死亡でワクチンに関係があると疑って有害事象として医師が報告した事例は1450例(令和4年1月23日時点)に上ります。ワクチン接種1000万回に対して188人が死亡しています。インフルエンザワクチンの場合は1000万回に対して死亡者はたった1人です。ワクチン分科会はこれら1450例すべてワクチンとの因果関係は無いとしています。ワクチン接種後に偶然亡くなったのなら、インフルエンザでも同程度の死亡者が出てもよいと思うのですが。
さて、未成年者の話をしましょう。新型コロナウイルス感染者の死亡は、未成年者では5人です。10歳未満では0人です。5人の内3人は元々重度の基礎疾患があった方です。1人は事故で亡くなり、その後のPCR検査で陽性反応が出たため、「コロナ感染者死亡」となった東京都の事例です。もう1人は埼玉県で、今年2月9日に亡くなった10代後半の基礎疾患のない男子学生です。この方は42度もの高熱が出ていたにもかかわらず、咳、呼吸困難の症状が無く、酸素飽和度も低下していなかたので、自宅療養をしていたところ急変したようです。最終診断は血管内に血栓が大量にできるDIC(播種性血管内凝固症候群)とのことです。昨年10月に2回目のワクチン接種も済ませていました。今年2月の感染ですからまずオミクロン株と考えていいと思います。私はこの症例はADE(抗体依存性感染増強)ではないかと考えています。詳しくはこの稿では述べませんが、興味のある方は検索してみてください。
新型コロナウイルスに感染して死亡した健康な未成年者は1人だけで、その方もワクチンを接種していなければ今回は亡くなることは無かった可能性はあります。この話は次回の稿で詳しくお話ししたいと思います。
一方未成年者へのワクチン接種で起きている有害事象の報告は1600件を超え、重篤者が387人、死亡者が5人となっています。当院の患者さんの12歳の息子さんはワクチン2回目接種後、熱と倦怠感でまったく食事が出来なくなり、栄養障害で1週間入院治療をされました。もちろん学校には行けない状態で今も療養されていますが、最近ようやく登校出来るようになりました。今流行している新型コロナウイルスのオミクロン株は、ウイルス表面のスパイク蛋白のアミノ酸が32個も従来のものと置き換わっており、スパイク蛋白の立体構造が変化し、肺には感染しにくくなっています。このため上気道の感染にとどまり、肺炎等の下気道感染にいたることは稀です。今回ワクチンの接種対象となる5歳から11歳の子供たちは、オミクロン株に感染しても半日から1日発熱したら翌日には元気になっています。
以上をまとめると
- ● 今回小児に接種するワクチンは豆腐のパッケージにも記載されている「遺伝子組み換えの大豆は使用しておりません」の組み換え遺伝子そのものを筋肉内に注入するものである。
- ● mRNAワクチンの長期安全性は不明である。
- ● 新型コロナウイルスに感染して死亡した健康な未成年者は一人である。
- ● mRNAワクチンを接種した未成年者で5人が死亡しており、重篤な副反応の症例が400人近くいる。
- 直近の政府ワクチン分科会で、「小児に対するmRNAワクチンはオミクロン株の感染予防効果は期待できない。発症予防効果、重症予防効果はほぼない」と報告された。委員の意見が分かれ、小児に対するワクチン接種を努力義務とすることは見送られた。
ここまでは事実を書いてきましたが、ここからは私の考えを書いていきます。
皆さん子供は弱いと思っていませんか?体はまだまだ小さいですが、おじいちゃん、おばあちゃんより生命力があります。子供は生まれてから感染するすべてのウイルスは新型です。旧型も新型もなくすべて初めてのウイルスです。初めてのウイルスに感染しながら免疫力を獲得し成長していきます。子供が感染症に弱かったら人類は滅んでいます。人類が誕生するもっとずっと以前からウイルスは地球上に存在しており、そのウイルスに対して対抗できる免疫システムを持った人間だけが生き残り現代の人類へと繋がっているのです。
今流行しているオミクロン株に対してmRNAワクチンはほぼ無効です。日本人の小児で新型コロナウイルスに感染して死亡した子はいません。それなら子供の生命力を信じて、オミクロン株に効きもしないmRNAワクチンを慌てて接種する必要はないのではないでしょうか。日本国内のメーカーが従来のインフルエンザワクチンと同じ製法で不活化ワクチンを作り承認申請中です。この方法は何十年にわたる経験と実績があり、ほぼ安全性が確立されています。これが承認されるまで時間的余裕は十分あると思います。万が一感染しても1日の辛抱です。その時は生ワクチンを接種したと思えばいいのです。完璧な免疫が獲得できます。ただ重篤な基礎疾患がある子供さんはこの限りではありませんのでそこは間違えないでください。「幼稚園や小学校からウイルスを家庭に持ち帰り、家族に感染させないよう接種しましょう」と首相や知事は言っていますが、子供たちを防波堤にせず、大人は自分で自分を守ればいいのです。
選挙権のない子供に不用なワクチン接種を押し付けて、「老人、大人を大切に守ります」と言わんばかりの見え見えのパフォーマンスは辞めて頂きたいと思います。子供たちの将来を守るために何もしないと言う選択肢もあるのです。
ご家族でじっくりと考えてください。