松下医院よりご挨拶院長よりひとこと

STOPコロナ狂騒局(1)-ワクチンについて考える-

更新日:2021/05/18

松下 正幸

 5月11日で解除される予定だった緊急事態宣言は5月31日まで延長されることになりました。いろいろ書きたい事はあるのですが、大阪市では5月24日より一般の新型コロナワクチン接種が始まりますので、まずワクチンの事をきっちりと理解してもらいたいと思います。今回の新型コロナワクチン接種は自治体が実施主体です。福島区民の場合は大阪市が実施主体です。先日急遽決まった中之島の国際会議場で行われる集団接種は総務省が実施主体となり、自衛隊がそれに協力するようです。ワクチンの有効性、副反応を含めたメリット・デメリット、将来起きるかもしれない副作用は、本来実施主体が丁寧に住民に説明すべきですが、実施まで1週間を切った現時点でも満足な説明はされていません。今回は新型コロナワクチンについて出来るだけ分かりやすく解説していきますので、しっかりと理解した上で接種するのかしないのか自分で判断してください。

 今までのワクチンは主に2種類ありました。

1)生ワクチン(BCG、水痘、麻疹、風疹 等)
2)不活化ワクチン(インフルエンザ、日本脳炎、肺炎球菌 等)

 生ワクチンは、何代も培養を繰り返したり様々な方法を用いて弱毒化した病原体を体内に入れるもので、弱いですが実際に感染が成立します。そのため通常1回の接種で免疫を獲得できます。不活化ワクチンは、病原体のタンパク成分だけを体内に入れるものです。抗原となるタンパク成分だけなので感染することはありません。したがって免疫がつきにくく通常2~3回接種します。生ワクチンでは訓練免疫、自然免疫、獲得免疫(細胞性免疫、液性免疫)すべての免疫反応が獲得され、一番強力なワクチンです。不活化ワクチンは、バラバラにして無毒化した成分すべてを入れるものと、特定のタンパク質だけを入れるものがあります。どちらにしても獲得できる免疫は液性免疫だけです。従来のワクチンは免疫反応を引き起こす物質を体内に入れています。

 しかし5月24日から接種が始まるファイザー社、モデルナ社のワクチンは、根本的に考え方が違っています。両社のワクチンはmRNAワクチンと呼ばれるもので、体内に病原体(今回は新型コロナウイルス)のタンパク成分を入れることはありません。そのかわり我々の筋肉細胞内に新型コロナウイルスのトゲトゲ部分を作るmRNAと言う遺伝子を入れ、細胞内のリボソームと言う機関を使ってスパイク蛋白(S蛋白)を作らせます。我々はS蛋白、トゲトゲに対する液性免疫を獲得します。今回のワクチンでは訓練免疫、自然免疫、細胞性免疫は獲得できません。感染・発症は阻止出来ないと私は考えますが、インフルエンザワクチンと同じように重症化は回避できると思います。

 スーパーに行ってお豆腐を見ると「遺伝子組み換え大豆は使用しておりません。」とまで書いてあります。お豆腐の原料となる大豆にそこまで神経質になっている日本人が、遺伝子組み換え技術で作成されたmRNAを直接注射で体内に注入されることをすんなりと受け入れるのは不思議ですし、そのことに全く疑問を持たず報道もしないマスゴミも理解できません。結論的にはmRNAは体内で長くても数時間で分解されますし、我々の細胞の核内に組み入れられることは無いと考えられているので、短期的には安全で効果も期待できると思います。ただこのワクチンは人に使用してまだ1年ほどしか経っていないので5年後10年後の長期的な安全性はだれにも分かりません。

 この2社のワクチンに関して副反応はあまり問題になることは無いと思います。注射部位の痛み、倦怠感、発熱、特に若年者で2回目の接種後に多いようですが、ほぼ48時間以内には治まります。蕁麻疹等のアレルギー反応もあるようです。40歳未満の女性に多いとの報道もありますが、今接種している方は医療関係者ですので、そもそも看護師さん等女性の数が圧倒的に多いからだと思います。280万人に接種した時点で19人の方が亡くなっています。その詳細は厚労省のホームページに掲載されていますから興味のある方は見てください。ワクチン接種との直接的な因果関係があると思われるものはありませんでした。

 65歳以上、特に75歳以上のご高齢者の方は重症化リスクが高く、人工呼吸器を装着する事態になると23%ほどの方がお亡くなりになっていますので、ファイザー社、モデルナ社のワクチンに関しては接種されることをお勧めいたします。アストラ社等のワクチンが承認された時にはまたそのワクチンのお話をしたいと思います。

 ワクチン接種はこれからどんどん進んでいきますが、ワクチンだけでは新型コロナウイルス感染症に打ち勝つことは出来ません。ワクチンは、我々が病原体に遭遇した時に駆使するすべての種類の免疫と言う武器を与えてくれるわけではありません。最終的には自分の免疫力がモノを言うのです。

 早く寝る、タバコは止める、紫外線を適度に浴びて運動する、適正体重にする、体を冷やさないようにする等々、免疫力を落とさない生活習慣が大切です。

« »

院内紹介
電話番号

TEL:078-914-8469